質問力向上プロジェクト?第三弾、ということで、三冊目。
これが一番良かった。多分読む順番も良かったかもしれない。
茂木さんのが個人の体験・主観の話、博報堂クリエイティブプロデューサーのがHow toの話、そしてこの本は質問力はなにかを例を通して示してくれる。
これは割と序盤の内容。残念なんだけど、これは、自分だと思った。というか、聞いて、咀嚼して、それから大抵は自分に質問し、わからなければ調べている。だから、質問して本人からもっと引き出す機会を逸している。もったいない。
メモの取り方としては次のような感じ。
* 相手の話を青
* 大事なところを赤
* 自分が感じたこと(主観)は緑
* 質問は頭に「?」をつけて緑
* 聞きたい質問の聞きたい度合いに合わせて二重丸など印を変えてグレードをつける
そしてそういったコミュニケーションを引き出す力を著者は「質問力」と言っている。
直後に紹介されている『谷川俊太郎の33の質問』がとても面白い。
これも面白い。業界によって、本や映画、人物など応用も効くと紹介されている。
この直前はこの後には良い質問と悪い質問を分ける例がいくつか出てくる。1つ目としては、「本質的vs非本質的」 x 「具体的vs抽象的」の4象限。本質的かつ具体的な質問こそ、良い質問だとしている。
次が、「相手が話したい/答えたいvs相手は話したくない/答えたくない」 x 「自分が聞きたいvs自分は聞きたくない」。
もちろん狙うのは相手が話したくて自分が聞きたいこと。
相手が話したいことを聞く気配りも時には大事だとしているが、本命はあくまでも相手と自分がそれぞれ乗っかりたいと思っていること・ものについて。
3つ目は、「相手の経験世界、過去の文脈に沿っているvs相手の経験世界、過去の文脈に沿っていない」 x「現在の文脈に沿っているvs現在の文脈に沿っていない」。
狙うのは過去の文脈に沿っていて現在の文脈にも沿っているところ。
相手の過去の文脈にのみ沿っているところは気配り・おべっかとして、2つ目のときの「相手が話したい」 x 「自分は聞きたくない」と同じ名称でマッピングされている。
確かに少し時間が経ってから同じフレーズを引用されると、その言葉は自分にとってはとても馴染みがあるから相手がよくわかっているという印象を受ける。
いい評価をされるため、というより、相手のフレーズの使い方を自分のものにするために、自分の文脈で相手のフレーズを使うことで相手のと共通認識を得る、ということなんだと思う。
テクニックだけを使うのではなく、お互い確認しながら対話をできているということを明示することで、円滑な会話につなげるということなんだなあ。
相手の会話から拾い上げるにしても、相手が一番苦労したポイントを汲み取ることが大事だとして、そこに言及すれば相手が話したくなるポイントのはずだから、自然と話が引き出せるとか。
質問じゃないじゃん、とこれまで思ったことが何度かあった類。ただ、もっと引いて目的に立ち返ると、これが次の話題振りにつながっているのだから大いに意味があるのだと思う。
これはどうでもいいことを聞いていて、2つ目に出てきた象限の「相手は話したくない/答えたくない」 x 「自分は聞きたくない」エリアにあるもの。ただ、それが常に無意味ではなくて緊張を和らげたりする効果もあるから使い所は選べばあるという話が出ている。
一見具体的に見えて、受け手によってどこに言及されていると思うかが変わるので応用が利きやすい質問、というのは面白いと思った。
素直に聞けば、いくつか相手が認識している変化点があって、その中について言及されているように思うし、確かにその変化点について話すのは比較的容易いはずかも。
ここでまた象限の軸が出てくる。「本質vs非本質」 x 「専門vs素朴」。狙うのは本質x専門。非本質で専門な領域は楽屋の裏話のようなもの。また、場合によっては本質x素朴な質問は相手を引き出す良い質問になることもある。ただし、基本的には前提知識を抑えた上で質問する本質x専門を射抜くものが良い質問。
さらに次の象限の軸。これは「読者や、他の聴衆が知りたいvs読者や、他の聴衆は知りたくない」 vs 「自分が知りたいvs自分は知りたくない」。
読者も自分も知りたいところが狙い目で、目的次第では気配りとして自分は知りたくないが読者が知りたい質問をすることもあるかもしれない。
ちなみに、読者は知りたくないが自分が知りたいマニアックな質問は周りに迷惑なのでやめるべきとしている。
同じテーマで掘りすぎると話しづらい、詰問されているような感じになる、というのは別の書籍でも出ていた。
話しやすいようにするという意味で、この行ったり来たりが大事なのだと思う。
それから、ダニエル・キイスと宇多田ヒカルの対談を参照しながらの解説がとても良かった。
ダニエル・キイスによる、「〜として、xxxについて聞かせてほしい」という、自分がどの立場から聞くか、特に聞く相手と同じ立場を示して共感しながら聞くことで、より深いところまで聞けるようにするという話。
その上で、「〜として聞く」と言っている以上、対等にやりとりするためその立場としての自分の場合の話を示すことが、その対等さ(Give and Take)には必要という点も触れていた。
インタビューをするということがTakeだけだとある程度以上の深さを期待することが難しく、Giveもすることで化学反応的に、もっと多くTakeできるのだなと改めて理解できた。
これは他の書籍でも触れられている話。答えを聞くのではなく過程を聞くべき、なんてことは茂木さんの書籍か何かでも触れられていた気がする。
これも引き続きダニエル・キイスと宇多田ヒカルの対談。あなたは天才ですか、と尋ねている箇所を参照しながら。
天才について自分も考えがある、あなたはどう考えているか?質問する時はそういう態度が必要ということみたい。
全体として、常識として言われている部分もありながら、たくさんのインタビューの例などを引用しながらどういいかを示していて学びが深かった。
象限で切りながら良い質問・悪い質問を切り分けているのも自分にはよく刺さった。
ここまで読んできた書籍で、今一度自分の質問に対する態度を改めて、質問力を磨くための実践をしてみようと思う。いい本を読めた。