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銭湯と恋

銭湯に行ってきた。

度々在宅勤務をしているのだけど、なんだかぼんやりと調子が悪くなってくる時がある。
頭の中がもやーんとして、体が少し重いような。

そういうときに銭湯に行くとさっぱりして気持ちが切り替わる。あれはいいものだ、というやつ。

行ったついでにちょっとした妄想をしたので垂れ流しておきたい。

その銭湯は昔からあるタイプのもので、番頭を20-30代前後の若者がしている。若者2人で当番制にして対応しているとのことだった。

そのおかげなのかわからないが、細かいところで工夫が見られてとても、良い。
まず音楽が流れている。うるさくない程度に、ジャズのような音。ちょっとしたおしゃれ、という感じ。

継続できるようにするため必要以上に頑張らない努力をしているのか、営業時間は夕方からちょうど深夜ごろまで。でも週に1度だけ早朝もやっている。

その上、土日には時々イベントもしている。お湯が変わったり、駄菓子を売り出したり。

それになんと、昔ながらの銭湯なのに、化粧水を置いてくれている。しかもハトムギ化粧水!(そしてそれを男湯にも置いてくれているのは高ポイントというかありがたい)
なんだか、無理しない範囲でいいものを提供しようとする空気がそこかしこに感じられて、とても、良い。

ホームページもかわいくて、モバイルでもちゃんと読める。

ここでふと、男性があの、みんな大好きハトムギ化粧水を置いたり、あのいい具合の音楽を流したりというのを思いつくだろうか、ということを湯上りに考えていた。

もちろん、思いつく、かもしれない。でも。


親から継ぐことになった銭湯の番頭をしている。
銭湯なんて古臭いものだし、昔からあるこの設備に大幅な投資はできない、けれど綺麗さを保って、人が来たいと思える場所にし続けてこの場所を守りたいという気持ちがある。

さてどうしたものか。
あれをしてみた、これをしてみた、自分としては男湯はこれでいい気がするけど、果たして女湯はどうだろうか。女湯ならではこだわらなければいけないポイントもあるのだろうか。

ふと頭に浮かぶ懇意にしている女性。
連絡をとる。

「このお風呂をもっと良くしたい、協力してくれないか」

あれこれとやりとりを経てきてくれることに。

「協力はしてあげるけど......絶対に覗かないでよ」

脱衣場と浴場の間のガラスはすりガラスではないので向こうが見えてしまうので、脱衣場より先には進めない。浴場の吹き抜けとなっている壁越しに会話する。

「何か思うところはあるかなあー?」

「あたし、お風呂ではxxしたいんだけど、xxはないの?」「あー、xx持ってくるの忘れた!ってか忘れる人も結構いると思うからさ、貸し出しとかあったら便利かも」「他にも......」

そうしてできる範囲で、なんて思っていただけだったのに、気付けば色々な工夫を凝らすことができた。今では、おしゃれだね、センスがいいね、毎週のイベント楽しみにしているよ、なんて男性客からも女性客からも声をかけてもらうことも多い。

あいつのおかげだな......そう思い返すと、温かくて、そして少し甘酸っぱい気持ちになる。


という妄想。中学生みたいな稚拙な妄想で背景を思い描いて、ちょっといい気持ちになっている。最近はなんだかちゃんとしたものを書かなければいけないような、そういう気持ちにさせられることが多いので、こういうインターネット老人会で散見される、古き良きインターネッツ、もたまにはいいものだなと、そう思う。

書いたら満足した。恋の詰まった銭湯(?)にまた行くぞ。

おしまい。