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学習の仕方を学ぶ

自己流で学習をしてきたけれど、もう少し上手いやり方があるんじゃないか、どうしたらもっと効率よく学習できるだろう、そんなことを考えていた。
そんな中、社内で教えてもらった書籍『LIMITLESS』と、それと一緒によく読まれているとAmazonでおすすめされた『モチベーション3.0』、それからオンラインコースの「Learning How to Learn」を受講したのでそこから拾った内容を書き出しておく。

LIMITLESS

最初に読むといいのは多分LIMITLESS。というのも、なかなかに良い図が掲載されているから。


出所:LIMITLESS 超加速学習人生を変える「学び方」の授業 (Kindle Location 553)


目的をはっきりさせることで意欲的に取り組み、自分はできると現実的な方法で期待する、そして効率的な方法を取る。
この3つが揃えば学習が加速する、ということで、なんとなく納得できるし、その上、学習術や自己啓発などを読んだときにそれはこの図のどこを掘り下げているのか、ということを頭の中で描きやすくなった。
学習の速度を上げるために何が不足しているかを考える上で良いモデルだと思ってる。

また、書籍を読む中で、著者が次のような問いを持ちながら読んでほしいとしている。多分この問いは、この書籍だけでなくて、他の何かを学ぶときにも使える質問だと思う。

問い1:これはどう使えるのか。
問い2:これはなぜ使わなければならないのか。
問い3:これはいつ使えるのか。

出典:LIMITLESS 超加速学習人生を変える「学び方」の授業 (Kindle Locations 1365-1368)


マインドセットの中で面白いのは、重要なのは「どのくらい賢いか」ではなく「どのように賢いか」だと述べているところで、どのくらい賢いかに着目すると、IQのような数値で測れるものだけが重要になり、ある人よりも高いか低いかに終始してしまって、結果として自分はできないとかそういう考えに至ってしまう。
また、知っていることが賢いのではなくて、それをどう使うかが大事なのだという話も出ていて、学ぶ目的にも関連しそうないい話だと思った。


モチベーションについても少し視点を変えるような話が載っている。
モチベーションが出ない、あがらない、なんて言い回しをよくするのだけど、この書籍の中では、そもそもモチベーションは常にそこにあるもので、あとは掛け合わせで無駄にせず行動へと移せるかどうかだとしている。

モチベーション=目的×エネルギー×3S目的、エネルギー、小さく簡単なステップ(SmallSimpleStep=3S)。この3つを掛け合わせたときに持続するモチベーションが生まれる(その究極形がフロー状態)。

出典:LIMITLESS 超加速学習人生を変える「学び方」の授業  (Kindle Locations 2288-2292)

腹落ちはしていないけど、明確な目的とそれを果たすために使える心身の状態、そして具体的なアクションを起こすことが可能であるか否か、というのがモチベーションのある状態で行動できるという話らしい。

またよくSMARTなゴール設定、というのが推奨されるが、あれは地味に設定難易度が高いということで、HEARTなゴール設定も紹介していた。
HEARTについてはこちらなど。


最後にメソッドについては、どうしたら速く読めるか、どう記録を取るか、どう考えるか、みたいな話なので、Tipsとしてよく世の中に転がっていそうでもあるけれど面白いものもあった。
例えば、速読。今読んでいる箇所に集中できるように指で追うと速く読めるという。これが結構本当だった。
考えてみればそうで、読んでいるとき集中力が途切れるとどこを読んでいたかわからなくなって同じ行を繰り返し読んでしまったりする。これは裏を返すと、普段読んでいるときにどこを読んでいるかにフォーカスするためにもエネルギーを使用しているのだということ、だと思っている。
だから、指で追ってどこを読んでいるか明確にすると、そこに使うエネルギーが減って読んで理解するのによりリソースを割くことができるのだと思う。

あと、音読も否定していた。音読するとその発声のスピードに読む速度が縛られて、それ以上の速さでは読めなくなるから。声に出していなくても、内なる声で頭の中で音読してしまっていると同じようにその速度に縛られるという話が出ていて、普段考えていなかったけれど面白い視点だった。

それから、他にも思考の型から抜け出すための方法として「6つの考える帽子」という話を紹介していた。検索してみると、シックスハット法とも呼ばれる様子。

内容としては、あらかじめ決められた6つの立場を用意しそれぞれの立場に色のついた帽子を用意、それぞれの帽子をかぶることで自分ではなく決められたある立場から考えを出せるようにするというもの。
客観的なデータの視点(白)、ポジティブに捉えて発想しようとする視点(黄)、リスクや問題点に着目する視点(黒)、感情や感覚的な視点(赤)、全く新しい発想を考えようとする視点(緑)、メリット・成果・投資対効果など管理者の視点(青)の6つを、青から始め青で終わるようにして検討するというもの。


ということで、この書籍で紹介されている方法だけでは「リミットレス」になれるかは微妙だったけれど、いい具合に整理ができた。

モチベーション3.0

この話の後でモチベーション3.0について考えると、なるほど、きっとリミットレス・モデルのモチベーションのあたりにフォーカスが当たっているんだな、なんて、あたりをつけながら読むことができる。
が、まあこの書籍は、近頃言われるモチベーション関係の主要な話をまとめている感じだったので、改めて読むほどではなかったかもしれない。
具体的には、内発的動機付け・外発的動機付けの話やそれをどう実現するか、また従来型の飴と鞭のやり方の問題点はなにか、を語っているといったところ。

とはいえ、いくつか目を引く記述もあった。

人には生来、(能力を発揮したいという)有能感、(自分でやりたいという)自律性、(人々と関連を持ちたいという)関係性という三つの心理的要求が備わっている。この要求が満たされているとき、わたしたちは動機づけられ、生産的になり、幸福を感じる。

出典:モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (Kindle Locations 1251-1254)

そう言い切る根拠は?とかつい思ってしまうが、ただ、なんとなくそうかもしれないと思える。
少なくともチームメンバーに仕事を振るとき、この点がうまく満たせていないと不満を持つようになるのはすぐに想像がつくし実体験としてもある。

あとは、目標の種類の話が紹介されていた、要は試験に受かるという達成目標と(試験対象の項目を)理解できるようにするという学習目標というものが気になった。学習目標を設定した方が結果的に理解度も高くなり、テストなどでは点数が高くなったらしい。
発想として達成目標の場合は、到達点が明確なのでそこに如何に少ないコストで到達するかというマインドになるけれど、学習目標の場合は究極的にはどこまでいってもマスタリー(熟練)を完全にはできないから、どこまでどうすればよりマスタリーに近づけるかを考えるというマインドになる、とかそう言ったところなんだろうと思っている。

それから、自分含め今どきの若い人が嫌いがちな「根性」についても記載があった。

「根性」という評価なのだという。これは、「長期目標を達成するための忍耐力と情熱」と定義される

出典:モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (Kindle Locations 2163-2164)

注書きがすぐ近くにあり、辿ると、TED Talkでかの有名なGRITの話にたどり着いた。
Talkの正確なタイトルは"Grit: The power of passion and perseverance"
あのGritって日本語訳では根性なのか......!根性をかっこよくそれっぽくいうとこういう言い方になるのか、と驚いた。

Learning How to Learn

これ。これは正直言って大当たりだった。

脳のモード:

- 脳には集中モードと拡散モードがある
- 集中モードだけでなく拡散モードもうまく使うことで学習が促進される
- 集中モードではある確立した考えがあればそれを使う(ピンボールのピンの間の感覚が狭い例)
- 拡散モードのときにはこれまでに得てきた考えなどをゆるーく結びつけたりする(ピンボールのピンの間の間隔が広い例)
- 起きてる間に脳にゴミが溜まり、寝ている間にそのゴミが取り除かれる
- 寝ないとゴミだまり(毒素)が頭にある状態なのでパフォーマンスに影響するから寝るのは大事

学習の仕方:

- 同じ時間学習するにしても、1日でやるのと1週間で分割してやるのでは後者の方がリピートしていることで記憶への定着が良い
- 思い出すという行為自体が記憶への定着を促進する(機械のように保存されているものをただ取り出しているだけ、ではない!)
- 読むだけ、聞くだけなどだとわかった気になるが記憶として定着しないということが発生しうる
- 読むだけで過ごすよりもミニテストなどを実施した方が記憶の定着が良かった
- また特定の場所での学習ではなく、異なる場所での学習をすることは、結果として場所に関係なく取り出せるようになることにつながるので記憶の定着につながる
- 全体像をおさえた状態で学習をするとコンテキストを踏まえた理解ができるためより効率的な学習につながる
- 全体像をおさえる手段の一つとして、例えばテキストの章や節レベルと出てくる図だけをざっと流し読むという方法がある
- パズルを組み上げるのと同じで、個別で積み上げていくのもいいが、全体像がぼんやりでも見えていれば多少欠けているところがあってもなんとなくわかるはず
- できることを何度も何度もやるのは逆に害がある、自分はわかっているという感覚に陥って学習が進みにくくなってしまう
- 知っている解決策などがあるとEinstellung(何て訳すんだろう、中止姿勢?)という現象に陥りやすい、要するに既にアイデアが見えているが故により良いアイデアを考える意欲が湧かなくなってしまうような状況
- Einstellungを解消するにはアンラーニングや考えを訂正するための新たな学習などが必要

習慣と先延ばし:

- 人はどうしても楽なことをする
- Cue, Routine, Reward, Beliefという4ステップで構成される、Cueは特定の時間や場所、状況、あるいは感情などによって引き起こされる行動のトリガー。RoutineはCueに対する反応、Rewardはその結果得られた報酬でそれがRoutineを強化する、そしてそれらが重なってBeliefとして確固たるものになっていく。
- なのでやめるべき習慣はCueに入れさせないようにしたり、Routineを介入して変更したり、Rewardsの得られるタイミングや条件を調整したりすることで対応する
- 例えば集中すべきときに携帯を見てしまうならネットをオフにするとか
- また、達成する成果に着目して何かを始めようとすると心理的にはプレッシャーになる
- なので、成果ではなくプロセスに着目して何かを始めるのが良い
- 実際、始めてしまうと脳は嫌という反応をしなくなる
- その点で、ポモドーロテクニックは良い、資料を書き上げるではなく資料を書くために次の25分取り組む、のようにした方が実現可能性が上がる(先延ばしが発生しにくくなる)
- 何かを始めることを先延ばししないために、例えば次の日のTODOは前日中にリストアップするのも大事
- そうすれば次の日は単にリストに従って進めれば良い状態になるので先延ばしが発生しにくくなる

記憶:

- 新しいことを学ぶと、実は古い記憶の方も更新される、寝ている間に新しいことと古いことの間に連結が発生したりする
- 記憶同士のつながりの生成には時間がかかるため、時間をかけた学習が大事という話
- よりよく長期記憶に定着させるには、ストーリー仕立てにする、意味のある関連でグルーピングするなどが有効
- その他、運動をすることも記憶の定着には良い

その他:

- グループ学習は効果がある
- ただし、時間を守り、達成目標を明確にし、集まった時はまずその目的に関することを実施し、その後時間があれば雑談などをするようなチームでないと効率は上がらない
- テストで変に恐怖を覚えないのは重要、このテストに落ちたら......と考えるよりも、このテストは自分の力を出すいい機会だ、のように考える方が結果的に良いパフォーマンスが出る
- 脳はストレスを感じていると一部の機能が無効になる
- 怒りなどを覚えているとき深く考えられなくなるのはこのせい
- テストのための学習では、例えばチェックボックスから選ぶ問題について、全てのチェックボックスを隠して自分で考えて回答してからチェックをする、という方法をとった方が思い出しやすい
- テストが解き始める時は難しい問題を少し解いてから簡単な問題に行く、これにより脳が集中モードに切り替わる
- テストを解き終わった時に新鮮な気持ちで振り返るのが難しい時は、問題を解いたのと逆順にたどっていくなどの工夫をする


ということで面白いものがたくさんあった。
基本的にはLearning How to Learnと言っているだけあってHowに関する部分(=メソッド)が多かったけれど、モチベーションやマインドセットにも影響するポイントもたくさんあった。

おかげで今までよりも効果的に学習をできそう。
早速一部試してみている(目次等でベースのコンテキストを整えてから個別コンテンツに入っていく)けど、以前より頭への入りが良くていい感じ。

Happy Learning!